yunico's fluffy life

横着主婦の暮らしの詰め合わせ

理想と現実のギャップすら楽しい。どんな現実も好きでいられる自分でありたい。¦暮らしのブログエッセイ

記事内に商品プロモーションを含む場合があります。

整然と片付いた空間が好き。

でも今はソファに洗濯済みの衣類が積んであるのを眺めながらこの文章を書いている。

毎日良い服を着て、髪やメイクも手を抜かない主婦に憧れる。いつなんどき、どんな来客があっても「奥さんいつもお綺麗にされているわね」なんて褒められたい。

「いえいえ、そんなことないですよ」なんて柔らかく言って、焼きたてのパイをそっと提供したい。

という妄想を、ジーパンにTシャツ姿でしている。もちろんノーメイク、髪も寝癖が付いたままである。

いま、来客があったら「ちょ、ちょっと待っててくださいね」って玄関前で10分くらい待機していてもらわないといけない。

陽の光がたっぷり入る昼間、クラシックなんかを小さな音でかけて、自分で焼いたクッキーでも摘みながら優雅にティータイムしたい。

なんてことを、足元にいる猫を足先で優しくサワサワしながら、テキトーに淹れたブラックコーヒーを啜っている今も妄想している。

お庭の施工にはこだわった。

「ここに小さなアイアンテーブルでも置いて、ケーキを食べたいね」なんて言っていたウッドデッキには、金魚とメダカのトロ舟がまるで養殖場のように並ぶ。夏にはここにクサガメも加わる。

でも楽しいのだ。

毎日ウッドデッキに出ては魚を見て周り、“あまり手の掛からない”と言われる植物たちを見て回るだけで、なんだか特別な日を生きているような気がする。

高貴そうな猫が飼い主の膝に乗って微睡む姿も素敵だが、元気にじゃれあって障子を破ったっていいのだ。

現実は理想の遥か上の面白さをくれる。

障子紙がないのでコピー用紙をせっせと貼り付けている飼い主を後目に、「いま飛び込んだらマズイですかね?」という調子で周りをウロウロする猫を見るのも楽しい。

そして、ここで慌ててはいけない。
慌てて手をパタパタさせたものなら、「お、遊ぶんだな?」と勘違いした猫が飛んでくるからだ。

内心、冷や冷やしながらも、「今は君たちに興味無いよ」「君たちもあっちで、なるべく静かに、昼寝でもしておいで」と、あくまでも平常心を装うのが最善なのだ。

この障子の前にキャットタワーが置いてある。
キャットタワーから外を眺められるように、1マス分の紙は貼らない。

外出から帰ってくる時、猫たちがここから顔を覗かせるのが堪らなく可愛いからだ。

「今日も猫ちゃん覗いていますね、可愛いですね」と宅配に来る人との会話が1つ増えるのが楽しいからだ。

「見てぇ!窓の所に猫ちゃんいるよ!可愛いねぇ!ばいばーい!」と道行く子供が、我が子とお喋りしていく声を聞くのが嬉しいからだ。

頭の中で“理想の私”を充分楽しんだら、コーヒーを飲み干して、「今日も頑張ろうか」と猫に声を掛けて、腰をあげる。

丸まって眠る猫を横目に、

ソファに積んである衣類を片付ける。
散らかったテーブルを綺麗にして拭きあげる。
ロボット掃除機の後を追って、たまには床の水拭きでもしよう。

乱雑な部屋を“整然に”戻していく。

私はこの過程が堪らなく好きなのである。


 

 
次、障子が破れたら破れにくい障子紙に変えよ。